CURATION
2025/05/06
【ワンルームマンション売却トーク術】「それ、あなたの都合ですよね?」で終わらせないために
こんにちは。RE/MAX Revoの安川亮介です。
今回は、投資用ワンルームマンションの売却相談を受けたときのトークの進め方について、実務で役立つ考え方をまとめてみました。
「残債がこれだけあるから、この価格じゃないと売りたくない」
「周辺の利回りから逆算してこのくらいでいけるんじゃないか?」
オーナーさんからこういった要望、日常的にありますよね。
でもそのまま受け入れるだけでは、プロの仕事とは言えません。
「査定価格=オーナーの希望」ではない
たとえばオーナーが5年前に2,500万円で購入し、現在ローン残債が2,300万円。
「手出ししたくないので、最低でも2,300万円で売ってください」と言われること、よくあります。
ここで「わかりました、その価格で出しましょう」と言ってしまったら、それは価格提案を放棄しているのと同じです。
不動産の価格は売主の都合ではなく、買主の納得で決まる。
この原則に立ち返ることが、プロとしての第一歩です。
周辺利回りは“参考”でしかない
確かに、「家賃×12ヶ月 ÷ 利回り」で価格を逆算する方法はポピュラーです。
例えば家賃10万円 → 年間収入120万円
利回り4%であれば「3,000万円」みたいな理屈ですね。
でも、この“利回り査定”は実は非常にあいまい**なんです。
- 地域によって利回りの開きが大きい
- 築年数・設備・管理状態などによるブレがある
- 一部の成約価格だけを元にしていて再現性が低い
そこで、もっと現実的な指標として重視すべきが次です。
売却価格の「本当の根拠」=買主のキャッシュフロー
買主は物件を投資商品として購入します。
では何を見て投資判断をしているか? それはキャッシュフローです。
✅ 家賃収入
✅ 経費(管理費・修繕積立金など)
✅ ローン返済額(借入額・金利・期間)
この3つを踏まえた「月々いくらプラスになるか?」が最大の判断軸です。
たとえば、
- 家賃:7万円
- 経費:2万円
- ローン返済額:6万円
これでは毎月1万円の赤字。
「あなたなら、この物件買いますか?」と聞いてみると、多くのオーナーがハッとされます。
売却の“タイミング”も重要なファクター
「別に今すぐじゃなくてもいいんです」と言うオーナーに対しても、注意が必要です。
なぜなら…
▶ 法定耐用年数により“融資年数”が短くなる
築年数が経つと、買主が使えるローン期間が短くなります。
ローン期間が短いと返済額が上がり、キャッシュフローが悪化 → 買い手がつきづらくなる。
▶ 金利上昇リスクがある
2025年現在、金利はじわじわと上昇傾向にあります。
金利が1%上がるだけで返済額は大きく変わり、投資採算も崩れます。
▶ 修繕積立金など経費の増加も想定すべき
年数が経てば経つほど、修繕積立金が数千円単位で上がっていくケースが多く、
これもキャッシュフローに直接影響します。
結論:「売主の都合」ではなく「買主の視点」で価格を提案する
「ローン残債がこれだけあるから、この価格じゃないと売れない」は、売主の都合です。
買主がローンを組み、キャッシュフローがトントン~プラスになる価格帯でなければ、現実的に成約はしません。
「それ、あなたのご意見ですよね?
買う人の身にもなってあげてくださいね」
と、しっかりプロとして伝えることが大切です。
☑ ワンルーム売却を任されたら「キャッシュフローシミュレーション」を使おう
提案力のあるエージェントは、必ずキャッシュフロー計算を使っています。
- 月々の手取りがいくらか
- ローン条件で返済額がどう変わるか
- 購入後の収益性を“見える化”する
それによって、売主も「納得して価格を下げる」判断ができるようになるのです。
最後に:ワンルーム売却の相談が来たら
「査定価格はお客様の希望ではなく、市場と買主の視点で決まる」
この原則を忘れず、数字と事実で説明しましょう。
RE/MAX Revoでは、売却戦略・価格根拠の作り方研修も行っています。
ご興味のある方はお気軽にお声かけください。