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2022/02/26
【司法書士】登記簿の見方【みつ葉グループ様】
不動産登記簿に関する実務ナレッジまとめ
1. 登記簿の基本構成と呼び名
- 正式名称:登記事項証明書(かつては「登記簿謄本」)
- 現在は法務局によりすべてコンピューター化されており、紙の原本ではなく電子管理
- 実務では「登記簿」と呼ばれることが多い
登記簿の3つの構成
- 表題部:不動産そのものの物理的情報(所在地、構造、面積、家屋番号など)
- 甲区(権利部):所有権に関する事項
- 乙区(権利部):抵当権や地役権など所有権以外の権利
2. 表題部に関するポイント
- 所有者が変更された場合など、1ヶ月以内に変更登記の申請が法律上義務
- 新築・増築・取壊しなどの建物変更があった場合にも申請が必要
- 表題登記は「土地家屋調査士」が行う(司法書士ではない)
- 実態と登記の情報が食い違っているケースが多いため、契約前にしっかり確認
- 現況と不一致があれば登記変更が必要。よくある例:未登記増築・面積不一致
3. 権利部(甲区・乙区)のポイント
甲区(所有権)
- 所有者の名前と住所、所有権の移転理由(売買・相続など)が記載
- 所有権移転は「保存登記(新築時)」「移転登記(売買・相続など)」がある
乙区(所有権以外の権利)
- 抵当権や根抵当権、地役権などが記載
- 登記簿の文言:「抵当権設定」や「抵当権抹消」など
- 線が引かれていない抵当権は残っている=要注意
共同担保目録とは?
- 住宅ローンなどで複数の不動産(土地+建物など)をまとめて担保設定する場合に作成される
- 「この抵当権は複数の不動産にかかっていますよ」と示す付属書類
4. 実務上のチェックポイント
- 最新の登記事項証明書を取得して確認(古いものでは最新の登記状況が反映されていない)
- 登記内容と現況が一致しているか?(未登記増築、面積不一致、構造変更など)
- 負担事項(抵当権・差押え・地役権など)の有無
- 土地が農地や保安林等に該当していないか?
5. 登記に関連する取引時の注意点
- 登記簿の負担欄に記載があるものは「契約時に買主へ説明が必要」
- 抵当権が抹消されていない場合、抹消登記手続きをしてから引渡し
- 売主が複数人いる場合(共有)や法人の場合は、権限確認が必要
- 司法書士の見積書取得には「固定資産評価証明書」「納税通知書」「権利証」などが必要
6. 中間省略登記(三者間売買)について
- A→B→Cという3者売買の場合、登記をA→Cで直接行う方法
- 所定の条件を満たせば合法。ただし実務上は以下に注意:
- B(不動産業者)が登記を経由しないため、登記関係書類をしっかり準備
- 所有権移転の意思確認や売主の同意文書が必要
- 印鑑証明書の有効期限(3ヶ月)に注意
7. 海外在住・外国籍所有者に関する登記の特例
- 所有者が海外在住の場合、日本の住所がないため本人確認が煩雑
- 日本領事館で発行される「在留証明書」や「サイン証明」が必要
- 国によって制度が異なる(例:中国なら公証書、ドイツなら大使館証明 など)
- 必ず事前に司法書士と連携し、必要書類を確認
8. 建物未登記・増築などに関する注意点
- 未登記建物は所有権移転登記ができない → 登記してから売買
- 増築部分が未登記のまま引き渡すと、買主がトラブルに巻き込まれるリスク
- 建築時期が古いと、登記内容と実際が乖離していることが多い
- 増築後の面積変更登記は「表題変更登記」が必要(調査士の仕事)
9. まとめ:登記簿活用の基本姿勢
- 契約前に必ず登記簿を精査する
- 表題部で現況と違いがないかチェック
- 甲区で所有権の経緯を確認
- 乙区で金融機関の抵当権などの有無を確認
- 未登記部分や増改築の登記漏れは専門家(調査士・司法書士)と相談